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において、Robert B. Gagosian(ガゴーシアン)所長、James Luyten(ロイテン)研究担当副所長及び本庄丕首席研究員と面会し、前述した目的に沿って以下のような意見の交換を行った。
?予算とこの管理等について
WHOIの年間予算は、1991年から増減を繰り返してきたが、1996年においては約85百万ドルとなっている。その収入の内訳としては、約70百万ドルは、研究者(Scientist)各人が研究課題をNSF(National Science Foundation)ならびにONR(Office of Naval Research)等に提案し、認められて得た研究資金である。当センターにおける予算科目では、受託収入に相当することになるであろう。ここ数年の平均的な状況としては、毎年、WHOI全体で130〜140人の研究者が約700の課題を提案し、そのうちの約400課題が採用されている。これによって得られた研究費の提供機関別の比率としては、NSFより約60%、ONRより約30%、NOAAより約4%、DOE(Department of Energy)より約2%となっている。なお、1995年までの、この研究資金の状況を図-1に示す。この収入に対する支出としては、約57百万ドルが研究者、技術者等の人件費を含む研究費、また約13百万ドルが3隻の船舶と1隻の潜水船の運航費である。WHOIは、米国での他の研究機関も同様であるが、研究者や技術者の人件費は研究者の研究課題の提案が認められることによって得られるとのことがら、課題を提案するべき立場にある研究者は、自らの給与のみならず、自分の研究室のスタッフの給与もがせいで来なければならない。一方、船舶運航費の船舶別の内訳としては、有人潜水調査船Alvinが約2百万ドル/年、海洋調査船Knorr及びAtlantisがともに約4百万ドル/年、0ceanusが約3百

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図-1研究資金の推移(WHOIの1995 Annual Reportより)

万ドル/年となっている。当センター所有の船舶に比べると、船の規模が異なることもあるが、かなり少ない運航費で運用が行われていることが分かる。なお、研究者が研究課題の提案をNSFなどに提出する際、ならびに認められた課題を実施する際には、必ず所長及び研究担当副所長のチェック(決裁)を受けて了承されることになる。このシステムについては、計画の策定・調整プロセスや事務手続の煩雑さの違いについては分からないが、当センターにおける科学技術振興調整費による受託研究に相当すると考えれば理解しやすいであろう。しかし、約400の課題から、例えば運航費等の共通経費を取り出し、取りまとめるなど、複数の部門に跨がって調整する作業も必要となると考えられる。WHOIには当センターのような企画部門がないことから、この策定プロセスや研究者のこれへの係わり方などについて理解を深められれば、当センターの予算の策定プロセスの改善や研究者の「雑務」の低減に参考になることがあるやに思える。一方、いまひとつの収入として、1996年においては、約175百万ドルの基金(Endowment)の運用益として得られる約7百万ドル、民間・財団からの寄附金(Gift)による約8百万ドルのあわせて約15百万ドルがある。このうち基金運用益は設立当初からの「資本金」を債権等への投資などによって得ら札た自己収入であり、民間の法人である立場を活用した、当センターにはないシステムである。このような自己収入はWHOIが組織として得たいわゆる「ひもつき」でない融通の効く資金であり、組織の運用において重要である。1995年までの基金の増加、ならびに自己収入の変遷について図一2及び図一3に示す。WHOIにおいては、この収入に対する支出として、所長決裁に基づき、研究プロジェクト費、“Chair(教授)”及び若手研究者の一時的(Bridge Support)人件費、MIT(マサチューセッッ工科大学)との学位取得プログラム費、機器整備補助費などに充てられている。
?人事・研究管理について
現在のWHOIにおける人員の構成は、研究者(Scientist)約130名、技術者(Technical Staff)約170名、研究補助者(Department Assistant)約200名、船員(Marine)約100名、ポスドク研究者約30名、学生的70名、総務・管理及び業務支援部門約230名の合計約950名となっている。ここで研究者(Scientist)と技術者(Technical Staff)のシステムの概略について紹介する。
イ. 研究者の評価と人事管理
研究者(Scientist)は、まず、学位取得者もしくはポス

 

 

 

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